社会保険の随時改定(月額変更届)とは?ポイントをわかりやすく解説!~港区・新橋の社会保険労務士なら社会保険労務士法人OMNIA Consulting~
こんにちは。港区新橋で人事労務に関する相談や手続きをサポートしている、社会保険労務士法人OMNIA Consulting です!
昇給や降給により支給される賃金の額に大幅な変動があった場合、社会保険料の見直しを行う必要があります。それを社会保険の「随時改定(月額変更届)」と言います。
今回は、社会保険の随時改定(月額変更届)のポイントをご紹介します!
社会保険の定時決定(算定基礎届)についてはこちらをチェック👇
社会保険の随時改定とは
社会保険の随時改定とは、昇給や降給等により、毎月決まって支払われる賃金(固定的賃金)が大幅に変動した際に、社会保険料を決定するための標準報酬月額を改定することを言います。この改定は、年に1度の定時決定(算定基礎届)を待たずに行われます。
随時改定が行われる条件
随時改定は、以下の3つの条件を全て満たすときに行われます。
【1.昇給または降給等により固定的賃金に変動があった】
固定的賃金とは支給額や支給率が決まっているものをいい、具体的には以下が挙げられます。
・昇給(ベースアップ)、降給(ベースダウン)
・給与体系の変更(日給から月給への変更等)
・日給や時給の変更
・請負給、歩合給等の単価、歩合率の変更
・住宅手当、役付手当、通勤手当(ガソリン代単価の変更も含む)等の固定的な手当の追加、支給額の変更
・一時帰休(レイオフ)のため、通常の報酬よりも低額の休業手当等が支払われた場合
固定残業手当を支払っている場合、固定残業手当の金額変更は固定的賃金の変動に該当します。また、時給者の所定労働時間が変更となった場合も、固定的賃金の変動に該当します。
【2.変動月から3か月に支給された報酬の平均額に該当する標準報酬月額と従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた】
この報酬の平均額は、残業手当等の非固定的賃金も含めて計算します。
注意が必要なのは、固定的賃金の変動があっても、固定的賃金の増減と標準報酬月額の増減が一致しない場合は随時改定の対象外となる点です。
例えば、基本給(固定的賃金)は増えたが、残業手当(非固定的賃金)が減ったため、新たな標準報酬月額が2等級以上下がった場合、もしくは基本給(固定的賃金)は減ったが、残業手当(非固定的賃金)が増えたため、新たな標準報酬月額が2等級以上上がった場合は随時改定の対象とはなりません。
また、標準報酬月額等級表の上限または下限に関わる等級変更の場合は、1等級の変更でも随時改定の対象となります。
【3.3カ月とも支払基礎日数が17日以上である】
支払基礎日数が17日未満の月が1か月でもあった場合は、随時改定の対象外となります。
また特定適用事業所に勤務する短時間労働者については、17日ではなく11日以上となります。
※支払基礎日数
・日給制や時給制の場合…実際の出勤日数に有給を加えた日数
・月給制の場合…暦日数(欠勤がありその日数分の給与を差し引く場合は、所定労働日数から欠勤日数を差し引いた日数)
反映のタイミング
随時改定に該当した場合、新しい標準報酬月額を反映するタイミングは、変動後の固定的賃金が支払われた月から起算して4か月目となります。
(例)月末締め翌月25日払の会社で、4月昇給があった場合
5月・6月・7月の3か月間に支給された給与の平均額をチェック
→随時改定に該当する場合は8月分の社会保険料から改定
→9月支給の給与から変更後の社会保険料の控除を開始する
1月~6月に随時改定により決定した標準報酬月額はその年の8月まで適用され、7月~12月に改定された場合は翌年の8月までに適用されます。
手続き方法・期限
昇給等により固定的賃金に変動があった人がいた場合は、変動月から3か月間に支給される給与をチェックします。忘れないよう、「〇月に月変チェックをする」等、メモやタスクに追加しておくことをおすすめします。
3か月分の給与が確定したら、前述した3つの条件に該当するかを確認し、すべての条件に該当した場合は「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者月額変更届」を提出します。提出先は年金事務センターもしくは管轄の年金事務所(健康保険組合に加入している場合は加入する健康保険組合にも)です。
手続き期限は具体的に定めれらてはおらず、固定的賃金の変動月から起算して3ヶ月目の給与を支払後「速やかに」となっていますが、遅くとも給与への反映が間に合うように手続きしましょう。
間違いやすい事例
①昇給や降給が遡って行われた場合
過去に遡って昇給や降給があり、差額が支給・控除された場合は、差額が支給・控除された月を起算月とし、それ以後3か月間(差額を除く)の平均額にて随時改定の有無を確認します。
②固定的賃金が複数月連続で変動する場合
固定的賃金が複数月連続で変動する場合は、それぞれの固定的賃金の変動を随時改定の契機として、その都度随時改定の対象有無を判断する必要があります。
③月途中で昇給や降給があった場合
給与計算期間の途中で昇給や降給があった場合は、変動後の給与がまるまる1か月分支給された月を起算月として扱い、それ以後3か月間に支給された給与の平均額にて随時改定の有無を確認します。
まとめ
今回は、社会保険の随時改定(月額変更届)のポイントについて解説しました。
賃金の変動には様々なケースが考えられるため、判断に迷うことも多いかと思います。
「賃金の変動があったが、随時改定に該当するのか分からない」「自社での管理が負担になっているため手続き・管理を依頼したい」等ありましたら、ぜひOMNIA Consultingにお問合せください。知識と経験を備えた担当者が、的確なアドバイスをご提供いたします!
社会保険労務士法人OMNIA Consulting
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